土砂災害対策工事の現場での「K-DIVE®」を活用した重機遠隔操作の実用化検証が日本建設機械施工協会主催「日本建設機械施工大賞」で「大賞部門 優秀賞」を受賞

2024年6月14日
コベルコ建機株式会社
株式会社冨島建設

 コベルコ建機株式会社は、2024年6月14日に表彰式が開催された「令和6年度 日本建設機械施工大賞」において、株式会社冨島建設、鹿島建設株式会社とともに「大賞部門 優秀賞」を受賞しました。
 受賞したのは、冨島建設が鹿島建設株式会社からの発注を受け、鹿島建設赤谷工事事務所内(奈良県五條市大塔町赤谷地区)の土砂災害対策工事において共同実施した、重機遠隔操作「K-DIVE®」の実用化検証です。

 「日本建設機械施工大賞」は、建設機械及び建設施工に関して、有意な技術の向上または地域の建設事業の課題の解消に、顕著な功績を挙げた業績を表彰し、もって国土の開発と経済の発展に寄与することを目的として、一般社団法人日本建設機械施工協会が開設したものです。
 今回、「大賞部門 優秀賞」を受賞した「K-DIVE®」と、実用化検証の概要は下記のとおりです。

K-DIVE®について

 「K-DIVE®」は重機の遠隔操作システムと稼働データを用いた現場改善ソリューションです。建設業界では、危険を伴う労働環境や深刻な人手不足の改善が急務と言われています。「K-DIVE®」により、特定の人・場所・時間などの制約を受けずに建設現場での施工を可能とすることで、多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化を実現し、本質的な安全確保を実現します。
 2024年4月、国土交通省は、建設現場の生産性向上(省人化)の取り組みを「i-Construction2.0」としてとりまとめました。同省では2016年度より、ICT施工をはじめとする「i-Construction」の取組を推進してきました。このたびのi-Construction2.0では、2040年までの省人化、安全確保、多様な人材の活躍、新3K(給与・休暇・希望)の実現を目標として掲げています。将来的な建設業の担い手不足が想定される中、今後もコベルコ建機は「K-DIVE®」の研究開発を進め、業界の課題解決に貢献していきます。

赤谷地区におけるK-DIVE®での実用化検証について

概要

 「K-DIVE®」による実用化検証を行った土砂災害対策工事は、鹿島建設が国土交通省近畿地方整備局より受注した「赤谷地区上流渓流保全工他工事」内にて実施されました。赤谷地区では2011年9月に発生した紀伊水害により深層崩壊が発生し、対策工事が進行中です。斜面の再崩落が繰り返される条件下、6月から10月の出水期には再崩落の危険性もあるため、無人化施工が進められており、その一環として、2023年6月から10月にかけて「K-DIVE®」を用いた検証が行われました。
 現場のコベルコ建機製20トン級油圧ショベルと、約70km離れた冨島建設本社(大阪市)に設置したK-DIVE®コックピットを専用光回線でつなぎ、土砂の掘削、ダンプの積み込み作業や整地敷均し作業、マシンガイダンスを使った法面成形などの土木作業を遠隔操作しました。

本検証で実証できた成果

土砂災害対策工事の現場に対して、「K-DIVE®」による無人化施工を問題なく実施

 人が立ち入れない危険な大規模土砂災害対策工事の現場において、K-DIVE®を使って重機を遠隔操作し、無人化施工が問題なく行えることを確認しました。

現場で重機を稼働している感覚が得られる「コックピット」で、スムーズに操作

 K-DIVE®のコックピットは、現場の音声に加えて、傾きや操作に影響する微細な振動をモーションシートにフィードバックします。急勾配や岩が多い現場でも重機に搭乗操作しているかのようなリアルな感覚が得られるので、約70km離れたオフィスからでも安全かつスムーズに重機を動かせました。

「多接続機能」で、2台のコックピットと現場の重機を接続

 現場の重機と、冨島建設本社および現場近くの事務所内の2カ所に設置したK-DIVE®コックピットを接続しました。コックピットを2カ所に置くことでコミュニケーションがより密に図れ、また複数拠点から切り替えて1台の重機を問題なく遠隔操作できることを確認しました。

「ダッシュボード機能」を日報代わりにして、手間が軽減

 遠隔操作したデータはクラウドにアップロードされるので、日々の業務内容や進捗状況を一目で確認でき、日報代わりに作業データを活用できました。また、録画した動画により作業の振り返りが効果的に行えました。

 今回の共同検証により、「K-DIVE®」を活用した大規模災害現場における無人化施工の本格導入が進み、それによる効率化、安全性の向上が期待されます。今後も「K-DIVE®」では、より高度な機能・サービスの提供に努め、さらなる普及に向けた取り組みを継続していきます。

奈良県五條市大塔町赤谷地区上流渓流保全工他工事現場内での検証の様子

検証の様子(左:大阪府大阪市冨島建設本社オフィス内での遠隔操作、右:稼働の様子)

ダッシュボード機能

「令和6年度 日本建設機械施工大賞」授賞式の様子

*記載されている情報は発表時のもので、予告なしに変更される場合があります。

 

以上