グローバル生産体制の再編について
~中国生産拠点の集約およびインド生産拠点の生産能力増強~

2022年6月24日
株式会社神戸製鋼所
コベルコ建機株式会社

 株式会社神戸製鋼所の100%子会社であるコベルコ建機株式会社(本社:東京都品川区、社長:山本明、以下 コベルコ建機)は、中国にある生産子会社の杭州神鋼建設機械有限公司(中国 浙江省杭州市、総経理:成瀬隆洋、以下HKCM)を、同じく中国にある製販子会社の神鋼建機(中国)有限公司(中国 四川省成都市、総経理:西岡基司、以下KCMC)に集約することを決定しました。

 また、インド子会社であるKOBELCO CONSTRUCTION EQUIPMENT INDIA PVT. LTD.(社長:平川武通、以下KCEI)のインド工場(インド アンドラ・プラディッシュ州)における油圧ショベルの製缶品生産能力を増強することを決定しました。

 なお、コベルコ建機より既にお知らせしている “北米油圧ショベル工場の譲渡” ※1 および “大垣事業所における生産能力増強” ※2 も含め、これらの実行によりショベル事業の一連のグローバル生産体制の再編・強化が完結することになります。

1.足もとの事業環境

 世界の油圧ショベル需要は、新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みはあったものの、先進国では概ね安定的に推移しており、中国を除く新興国需要はエリアによる高低はあるものの、引き続き安定成長が期待できるものと見込んでおります。コベルコ建機においてもエリア毎の販売網強化や市場ニーズに合わせた機種・仕様の拡充などを進めることで、今後も安定的に油圧ショベルの販売台数を伸ばしていく計画です。

 一方で、近年世界需要の約半分を占めてきた中国市場は減退傾向が進むと同時に、中国国内メーカーの攻勢も高まり、足元で外資メーカー比率は2割程度(2018年には約5割)まで落ち込んでいます。加えて、販売価格の低下も顕著となり、中国事業を大きな収益の柱としていたKOBELCOグループの建機事業への影響は避けて通れないものとなっています。

2.生産・供給体制再編と設備投資の概要

 今回のショベル事業おける一連のグローバル生産・供給体制再編は、中国における市場環境の変化を踏まえ、グローバルな視点で最適な供給体制に見直しを図ることで収益安定化と生産コストの低減を実現します。

① 中国の生産拠点をKCMCへ集約

現在2拠点(HKCM・KCMC)でおこなっている中国国内向けの油圧ショベル生産をKCMCに集約します。これにより、中国における生産(組立)能力は現在の10,500台/年から5,500台/年に縮小します。併せて、HKCMの有していた製缶品の供給能力は、一部をKCMCに移管し、残りの多くは後述するインド工場へ移管します。段階的に移管を進め、2023年1月頃の移管完了を予定しております。中国における生産能力を事業環境に即した規模に見直し、固定費を削減することで収益安定化を目指します。

② KOBELCO CONSTRUCTION EQUIPMENT INDIA PVT. LTD.(以下、KCEI)の生産能力増強

コスト競争力のあるKCEIを新たに油圧ショベルの製缶品の供給拠点と位置づけ、製缶品の生産能力を足元の3,000台/年から4,700台/年まで高め、主としてコベルコ建機タイ工場(KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY SOUTHEAST ASIA CO., LTD.)への供給拠点とします。

③ KOBELCO CONSTRUCTION MACHINERY U.S.A. INC.(以下、KCMU)北米工場の譲渡

コベルコ建機の米国子会社であるKCMUの北米工場はエンジンの認証問題により2021年5月より稼働を停止しておりましたが、株式会社竹内製作所に約39.5億円で譲渡いたしました。北米工場で生産していた油圧ショベルは五日市に生産を移管し、競争力を高めます。

④ コベルコ建機大垣事業所の生産能力増強

コベルコ建機大垣事業所内に、3,000台/年の能力の油圧ショベル組立ラインを新設することにより、生産能力を現状の8,500台/年から11,500台/年まで高めます。新設する組立ラインは、広島事業所五日市工場の生産メニューである7tクラスと大垣事業所の既存ラインで生産していた5tクラスの2クラスの組立専用ラインとすることで、五日市工場との補完体制を構築し、台数変動に応じた柔軟な生産を可能にします。また、組立ライン新設に併せて同事業所の製缶品の供給能力も増強いたします。

3.関連費用とスケジュール

項目 関連費用 完了予定日(本格稼働開始日)
① 中国生産拠点のKCMC集約 集約関連費用約60億円※ 2023年1月完了予定
② KCEI製缶能力増強 設備投資額約12億円 2024年4月完了予定
③ KCMU北米工場譲渡 譲渡額▲約40億円 2022年4月15日譲渡済
④ 大垣事業所生産能力増強 設備投資額約34億円 2023年8月完了予定

※約60億円のうちほとんどが、HKCM設備等の処分コスト、および拠点集約に伴う費用となります。

4.グローバル生産体制の再編による効果

今回、中国事業の事業最適化を確実におこなうとともに、高需要エリアに対する生産能力増強、インド事業の収益体制強化を実現することで、年間100億円規模(すべての投資が完了する2024年度以降)の収益効果を見込んでおります。

 コベルコ建機はこれからも『ユーザー現場主義』に基づき、更なる技術の発展に努め、さらなる商品価値の提供を目指すことはもちろんのこと、その礎となる製販が連動した高度かつ安定した事業運営を目指します。また、KOBELCOグループは、今後も「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界。」を実現するために、個性と技術を活かし合い、社会課題の解決に挑みつづけます。

*記載されている情報は発表時のもので、予告なしに変更される場合があります。

以上