2023年11月2日
コベルコ建機株式会社
株式会社冨島建設
コベルコ建機株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:山本明、以下、コベルコ建機)と株式会社冨島建設(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:富島康之、以下、冨島建設)は、鹿島建設株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:天野裕正、以下、鹿島建設)からの発注を受け、鹿島建設赤谷工事事務所内(奈良県五條市大塔町赤谷地区)の土砂災害対策工事において、K-DIVEⓇの実用化検証を共同実施しました。
2023年11月1日、国土交通省近畿地方整備局主催「建設技術展2023近畿」の「2023年度インフラDX」で、鹿島建設が本実用化検証を発表したところ、「優秀技術賞」を受賞しました。
「K-DIVEⓇ」は、重機の遠隔操作システムと稼働データを用いた現場改善ソリューションです。建設業界では、危険を伴う労働環境や深刻な人手不足の改善が急務と言われています。「K-DIVEⓇ」は、特定の人・場所・時間などの制約を受けずに建設現場での施工を可能とすることで、多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化を実現し、本質的な安全確保が行えるようになるのが特長です。
今回、「K-DIVEⓇ」による実用化検証を行った土砂災害対策工事は、鹿島建設が国土交通省近畿地方整備局より受注した「赤谷地区上流渓流保全工他工事」内の現場です。2023年6月から10月に掛けて行った本実用化検証の概要と成果は下記のとおりです。
2011年9月に発生した紀伊水害により深層崩壊が発生し、対策工事が進行中です。斜面の再崩落が繰り返される条件下、6月から10月の出水期には再崩落の危険性もあるため、無人化施工が進められており、その一環として「K-DIVEⓇ」の検証が行われました。現場のコベルコ建機製20トン級油圧ショベルと、約70km離れた冨島建設本社(大阪市)に設置した「K-DIVEⓇ」コックピットを専用光回線でつなぎ、土砂の掘削、ダンプの積み込み作業や整地敷均し作業、マシンガイダンスを使った法面成形などの土木作業を遠隔操作しました。
人が立ち入れない危険な大規模土砂災害対策工事の現場において、「K-DIVEⓇ」を使って重機を遠隔操作し、無人化施工が問題なく行えることを確認しました。
「K-DIVEⓇ」のコックピットでは、現場の音声に加えて、傾きや操作に影響する微細な振動をモーションシートにフィードバックします。急勾配や岩が多い現場でも重機に搭乗操作しているかのようなリアルな感覚が得られるので、オフィスからでも安全かつスムーズに重機を動かせました。
現場の重機と、冨島建設本社、現場近くの事務所内の2カ所に設置した「K-DIVEⓇ」コックピットを接続しました。コックピットを2カ所に置くことでコミュニケーションがより密に図れ、また複数拠点から切り替えて1台の重機を問題なく遠隔操作できることを確認しました。
遠隔操作したデータはクラウドにアップロードされるので、日々の業務内容や進捗状況を一目で確認でき、日報代わりに作業データを活用できました。また、録画した動画により作業の振り返りが効果的に行えました。
今回の共同検証により、「K-DIVEⓇ」を活用した大規模災害現場における無人化施工の本格導入が進み、それによる効率化、安全性の向上が期待されます。今後も「K-DIVEⓇ」では、より高度な技術開発を進め、実用化に向けた取り組みを継続していきます。
国土交通省近畿地方整備局では、これまで生産性向上として取り組んできたi-Construction等をより進化させるため、インフラDXを推進しています。インフラ分野のDXに活用できる優れた技術を発掘し、試行フィールドを提供することによって、技術開発を促進することを目的に「インフラDXコンペ」を開催しております。「優秀技術賞」は河川部門、土木部門でそれぞれ1案件ずつ、応募案件の中から最も優れた案件に贈られます。
奈良県五條市大塔町赤谷地区上流渓流保全工他工事現場内での検証の様子
検証の様子(左:大阪府大阪市冨島建設本社オフィス内での遠隔操作、右:稼働の様子)
「インフラDX」での授賞式の様子
ダッシュボード機能
*記載されている情報は発表時のもので、予告なく変更される場合があります。
以上