新型20トン級ハイブリッド油圧ショベル『SK200H』の開発・販売開始について ~業界初!リチウムイオンバッテリーを全面採用~

2016年5月30日
コベルコ建機株式会社

 コベルコ建機株式会社(本社:東京都品川区、社長:楢木 一秀)は、2012年に販売を開始した20トン級ハイブリッド油圧ショベル『SK200H-9』をフルモデルチェンジし、『低燃費のコベルコ』としてのフラッグシップ機として『SK200H-10』を開発、2016年11月より販売開始します。

【販売概要】
機種名 SK200H
本体型式 SK200H-10
運転質量 21,400kg
販売価格 24,648千円
販売開始時期 2016年11月1日
販売目標台数 100台/年

 今回開発したコベルコ建機のハイブリッドシステムは、20トン級で「業界初」となる大容量リチウムイオンバッテリーを採用したことで、従来機搭載のキャパシタ※1と比較して、蓄電量、持続力、アシスト効率が向上しました。その結果、従来モデルのハイブリッド機『SK200H-9』と比較すると、Sモード(省エネ・燃費重視モード)では▲7%、ECOモードでは▲4%の燃費を低減しました。標準機『SK200-9』と燃料消費量を比較すると、Hモード(作業量重視モード)では▲19%、Sモードでは▲17%、ECOモードでは▲12%の燃費低減を実現しました。
 また、コベルコ建機が新たに一から設計し独自開発した大型の発電電動機は、従来機と比べて約5倍の出力を有し、エンジンアシスト力が大幅に向上しています。作業量を従来機の『SK200H-9』と比較するとHモードで7%、Sモードで10%、ECOモードで5%向上し、標準機『SK200-9』と同等の作業スピードを実現しました。
 さらに、従来機の旋回油圧モーターから旋回電動モーターに変更したことで、旋回動作は完全電動化となりました。旋回性のチューニングにこだわり、ハイブリッド特有の旋回性の違いをほぼ無くすことに成功、標準機と同等の旋回性を実現しています。

 コベルコ建機は今回の新機種発売で、『低燃費のコベルコ』としての燃費改善に向けた取り組みに加え、優れた耐久性を兼ね備えた製品をめざし、メインコンセプトを『低燃費、さらに高耐久』としました。その結果、今回販売を開始する製品は、より一層の燃費性能向上を達成するとともに、高い耐久性を持った機械となります。
 耐久性の向上として、機器類の故障予兆を検知できる予防保全機能の搭載、新車保証期間の延長、フィルタ類の見直し、アタッチメントの強度強化などにより高い耐久性を兼ね備えています。これらの低燃費性能と高耐久性により、さらなる環境負荷の低減、お客様ライフサイクルコストの低減が可能となりました。

 コベルコ建機は、ハイブリッド機のみならず、通常型ショベルにおいても圧倒的な低燃費を実現しております。コベルコ建機はこれからも、圧倒的な燃費性能を維持し続けます。
 更に今後は『低燃費、さらに高耐久』をコンセプトに、顧客にとってのライフサイクルコスト低減のメリットに加えて、高い耐久性によるライフサイクルコストの低減メリットを付加して、お客様へさらなる商品価値を提供してまいります。

<コベルコ建機 ハイブリッド油圧ショベルについて> コベルコ建機は、1999年のNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)からの委託を機に、ハイブリッド油圧ショベルの研究開発をスタートしました。2006年には世界初となるハイブリッド油圧ショベルの実機を世界3大建機展「INTERMAT2006(フランス)」に展示、2010年には従来機比▲40%の燃料低減を実現した8トン級ハイブリッド油圧ショベル『SK80H』を開発・販売し、同年12月には、環境省が実施する『地球温暖化防止活動環境大臣表彰(技術開発・製品化部門)』を受賞しました。
 そして2012年には、当時の20トン級標準機(SK200-8)と比べると▲16%の燃料低減を実現した、20トン級ハイブリッド油圧ショベル『SK200H』を開発・販売し、2013年には国土交通省のNETIS(新技術情報提供システム)に登録されました。
 今回、17年間の研究開発の成果を盛り込んだ新型20トン級ハイブリッド油圧ショベル『SK200H』を開発・販売いたします。

新型20トン級ハイブリッド油圧ショベル『SK200H』の主な特長

1) 環境性

  • オフロード法2014年基準値に適合しています。

2) 低燃費性能の向上

  • 従来機『SK200H-9』と比較すると、Sモードで▲7%、ECOモードで▲4%、標準仕様機『SK200-9』と比較すると、Hモードで▲19% 、Sモードで▲17%、ECOモードで▲12%の燃費低減を実現しました。
  • 大容量リチウムイオンバッテリーの採用により、従来機搭載のキャパシタに比べ、蓄電量が大幅に増加し、その結果、エンジン負荷に応じた効率的なアシストが可能となりました。
  • コベルコ建機が新たに独自設計・開発した大容量の発電電動機のアシストにより、エンジンは安定した回転数で稼動できます。エンジン負荷の低いときに、エンジンの動力をバッテリーに蓄え、エンジン負荷が高いときには、バッテリーに充電した電力を活用し発電電動機がエンジンをアシストします。これによりエンジンが安定した回転数で稼動できるため、低燃費化につながっています。

3) 作業性能の向上

  • 作業量は、従来機『SK200H-9』と比較するとHモードで7%、Sモードで10%、ECOモードで5%向上し、標準機『SK200-9』と同等の作業スピードを実現しました。
  • 新たに採用した旋回電動モーターにより、旋回動作は完全電動化を実現。これによりハイブリッド特有の旋回性の違いをほぼ無くすことに成功、標準機と同等の旋回性を実現しています。

4) 高耐久性

  • ITを利用してエンジンや油圧ポンプ関連の状態を常にモニタリングし、異常や故障の前兆を把握、お客様にメンテナンスを提案する予防保全機能を搭載しました。これにより、機械停止などの大きなトラブルを最小限に抑えることが可能となります。
  • 本モデルのコンセプトである高耐久性を実感していただくために、新車保証期間を従来の「1年または1,000時間」から、「1年または2,000時間」に延長しました。さらに、エンジンや油圧ポンプなどの主要機器については「3年間または5,000時間」の延長保証を新規に設定しました。※2
  • 一般向けの販売機には500時間毎の定期メンテナンスと4,500時間経過時にDPFのメンテナンスを無償で対応します。<sup>※3</sup>
  • 作動油フィルタ交換時のゴミの落下を防止する新型の作動油フィルタを採用するとともに、作動油フィルタの目詰まり検出センサと作動油温センサを搭載し、異常を検出した場合にはモニタにアラームを表示します。
  • 旧モデルの燃料フィルタはメインフィルタ1つで構成されていましたが、燃料の品質をより安定させるためにプレフィルタを追加しました。
  • アタッチメントの溶接構造等を一部変更することで、耐久強度を大幅に向上させています。

5) メンテナンス性

  • 日常メンテナンスでは、通常の油圧ショベルと同等で、特別な定期メンテナンスは不要です。

※1 蓄電池に蓄電し、蓄電したエネルギーを電動機によって油圧ポンプのアシストに使用することで燃費消費量を低減するシステム。
※2 延長保証の利用には一定の条件がありますので、詳細はお問い合わせください。
※3 レンタル向け機械については無償メンテナンス対象外となります。

『SK200H-10』

主要諸元については、次項をご参照下さい。

主要諸元表

機種名 SK200H
本体型式 SK200H-10
運転質量 kg 21,400

性能

標準バケット容量(山積)m3 0.8
旋回速度min-1 {rpm} 11.4 {11.4}
走行速度km/h 5.2 / 3.1
登坂能力%(度) 70 (35)
最大掘削力 バケットkN {kgf} 143 {14,600} (157 {16,000})
アームkN {kgf} 102 {10,400} {112 {11,400})
接地圧kPa{kgf/cm2} 46 {0.47}

寸法

全長(輸送時)mm 9,560
全幅(輸送時) mm 2,800
全高(輸送時)mm 3,070

エンジン

型式 日野J05EUM-KSSN
種類 インタークーラターボ直接噴射式ディーゼル
定格出力kW/min-1 {PS/rpm} 119 / 2,000{162 / 2,000}(JIS D0006-1;2000)
燃料タンク容量L 320

ハイブリッド装置

動力用主電源 リチウムイオンバッテリー
発電電動機 三相交流同期形永久磁石式
旋回電動機 三相交流同期形永久磁石式

作動範囲(標準アーム時)

最大掘削半径mm 9,900
最大掘削深さmm 6,700
最大掘削高さmm 9,720
最大ダンプ高さmm 6,910

* 単位は国際単位系のS I単位表示で { } 内は従来表示。バケット容量、掘削力はJISで表示。 ※印の数値はシュー突起含まず。

*記載されている情報は発表時のもので、予告なしに変更される場合があります。