住宅がひしめく中でも日々稼働を続ける建設機械は、私たちの暮らしにも深く関わっています。
街をつくり、暮らしを豊かにする建設機械が、大きな音で生活の妨げになってはならない。
そこで私たちが導き出したひとつの答えが、ショベルの低騒音化でした。
道路工事や住宅工事など、生活のそばには数多くの工事現場があり、実は意外と身近な存在でもある建設機械。日本では1968年に騒音規制法が制定され、2000年代に入ると世界的に騒音規制の動きが広がりをみせる中、コベルコ建機では2001年に油圧ショベルの低騒音化に向けたプロジェクトがスタートしました。
従来機の音に比べ、体感で半分以下となる-10dBを目標に、掲げたスローガンは“極低騒音”。音響研究で定評がある神戸総合技術研究所(神戸製鋼)の専門家と開発担当者たちがチームを組み、無謀とも言える高いハードルへ挑みました。
※国土交通省の指定制度上はあくまでも超低騒音型(基準値98dB)で、“極低騒音”はコベルコ建機の独自表現です。
騒音の主な原因はエンジンと冷却ファンですが、音を小さくするために閉じ込めてしまうとオーバーヒートの原因に。そこで生まれた新たな発想が、吸気口からエンジンルーム、排気口までを大きなダクトに見立て、空気の通り道をつくる“風の道”方式でした。
空気が流れることでオーバーヒートを防ぎ、吸音材で覆われたダクト内部の壁に音をぶつけることで騒音を低減させ、吸気口にはマスクの役割となるフィルタを備え、高い防じん性能も実現。設計・試作・測定を繰り返し、デジベルで表示される数値と格闘しながら、6年間の挑戦の末に誕生したのが、コベルコ建機独自の冷却システム、「iNDr(Integrated Noise&Dust Reduction Cooling System)」です。
低騒音と防じん性能が組み合わさったこの画期的な冷却システムを搭載した初めてのモデルが、2007年に発表された後方超小旋回ショベル「SK225SR」。このマシンの最大の特徴は圧倒的な低騒音で、国土交通省が定める超低騒音型建設機械の基準値に比べて5dB下回り、機体左側面においては従来機より-10dBという開発当初に掲げた目標を達成しました。現在、iNDrは後方超小旋回機やミニショベルなど、主に都市部での工事に使用されるモデルに搭載。生活の妨げにならないことだけではなく、低騒音化により作業する人の声が通りやすくなり、現場での安全性向上にもつながっています。クルマや電車のように、私たちが暮らす街中で身近な存在であり続けられるよう、私たちは建設機械の可能性を追求していきます。
Pick up:「極」 低騒音。SK125SR SK135SR
コベルコ建機のiNDr技術は、国土交通省の新技術情報提供システム NETISの登録技術です。
登録番号:CG-100015-VE(iNDr搭載極低騒音型バックホウ)