Kobelco Construction Machinery Co., Ltd.

沖縄ならではの自然環境と向き合う現場

取材
20165

クレーンと働く人

クレーンを知り尽くしている株式会社ミックの専務取締役、常務取締役、
SL16000J-Hのオペレータが、その思いやポリシーを話してくれました。

西谷弘治さん
株式会社ミック
オペレータ

良いオペレータとは

実は、コベルコにとって特別な日であった。満を持して投入した、国内最大級の新型クローラクレーンSL16000J-Hがベールを脱ぎ、世界で初めて実務を行うという日。現場には本クレーンの設計者をはじめ、普段よりも多くの関係者が顔を並べた。沿道には深夜にもかかわらず、熱心なクレーンファンの方々や一個人として見学に来た関係者も少なくなかったという。キャブを任されたオペレータはどのような人物なのだろう?本番が始まる約14時間前、穏やかな表情の紳士が現れた。

ミックの西谷さんは、オペレータ歴30数年のベテラン。今回SL16000J-H初稼働のオペレータに指名されるまでになったが、オペレータになりたての頃は35トンの小さなクレーンを運転していた。古いクレーンに乗ることも多かった。次第に大型のクレーンを任されることが多くなり、650、7650、7800と、キャリアを重ねてきたという。本番を前に、SL16000J-Hの操作感を伺った。

「まず、大きなクレーンは吊るものが半端な重量ではないですから、操作は簡単ではありません。その点をフォローするためでしょうね、SL16000J-Hは操作しやすさを突き詰めて設計されているなぁ、と感じました。ウインチの巻き上げ巻き下げが滑らか。台車の動きもスムーズ。コベルコのクレーンはたくさん乗ってきましたが、コベルコで最もスムーズに動くクレーンかもしれません」

西谷さんは、何を大切にし、何を磨いてきたのだろう。そしてその回答がそのまま「良いオペレータの条件」になるのでは。操作の極意とやらを知ることができるかもしれない。

「レバー操作など、すべてにおいて慎重な操作を心がけています。リミットには頼っていません。もちろんリミットは効くと思っていますが、あえて100%信頼しないようにしています。また、周囲を常に確認しています。立ち入り禁止でも後ろに車両が入ってこないとは限らない、と考えていますから」

要約すると「周囲に気を配りながら、慎重に操作をする」である。拍子抜けするくらいの基本中の基本である。このご発言を三橋さんと井口さんに披露したところ、おふたりは満足そうにうなずいた。そういうことなのである。

西谷さんのヘルメットには他の人より多くのシールが貼ってある。目をひくのは、右側に並べて貼っている「ご安全に!」と「あ・わ・て・な・い」というステッカー。右側といえば、すなわちキャブの出入り口である。まるでキャブから現場に向けて「みんな、忘れるなよ。俺も注意する」と呼びかけているかのように感じた。それは考えすぎかもしれないが、西谷さんが、態度と行動と温和な笑顔で、自らを律し、そして現場の仲間たちに気を回している人であることは確かだ。