会社の舵取りに
直結するアンテナ
新市場開拓の醍醐味も
高感度なアンテナで情報収集

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松代去年の10月に広報からマーケティング事業本部に異動になったばかりなので、お話を楽しみにしています。まず、マーケティング事業本部の位置づけや役割について聞かせてください。

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泉大きな役割は、販売に結びつく活動をして利益を生み出すことと、アンテナ機能だね。ユーザーや世の中に対する情報収集をして、それによって会社が動くわけだ。アンテナがきちんと働いていないと、開発・生産・品質管理などの他の事業部も進む道を間違えてしまう。重要な役目。

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絹川とにかく、お客さまと現場に一番近いポジションだよ。お客さまのニーズと、現場や時代の変化から必要なものを見つけることが第一。そしてわが社の開発生産能力や流通などを総合的に考えて、どういう戦略で商品を販売、流通させていくかを判断するのも大切な仕事だ。

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泉新しいニーズをつくるっていう役割もあるね。求められていなくとも、我われが先導して新しい製品や機能をつくって、それがお客さまにとって魅力があれば、そのジャンルのマーケットが新しくできる。で、その市場では我われがリードできるわけです。そういった新しいマーケットを生み出せる部署だね。市場開拓は仕事の醍醐味でもあるよ。

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絹川製品としては、応用商品も多い。カスタム対応はコベルコ建機の得意とするところだけど、カスタムから生まれて量産モデルになることも多いよ。

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松代「ほしい」とさえ、まだ思われていないものをつくって、「そんなことができるならほしい」と思ってもらえるのは、嬉しいですし、やりがいがありますね。

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松代コベルコ建機の強みとか、コベルコ建機らしさというのはどういうところでしょうか?

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絹川「ユーザー現場主義」は特徴だね。お客さまに寄り添って、問題を一緒に解決していこう、という気持ちが強い。ほかのメーカーさんよりも、お客さまに近いと思う。もちろん海外のお客さまに対しても同じだよ。

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泉お客さまの現場を知らないと深い意味では理解できないから、とにかく「お客さまの現場に行け」といつも言ってる。海外なんて特に、自分の目で見てみないと分からないからね。実際、松代さんはマーケティング事業本部に来てどう感じてる?

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松代「ユーザー現場主義」は、単なる理念じゃないんだなと日々感じています。実際に、お客さまからのご意見やご要望を大切にして、具現化しているからこそ、当社独自の技術や製品が生まれてきたんだと実感するようになりました。

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泉チャレンジ精神もコベルコ建機の強みだ。必ず成功するとは限らないけど、「とにかくやってみよう」という風土がある。だから動きが早い。

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絹川悩みがあるときに「こうしてほしい」って具体的に言えるとは限らないよね。お客さまも解決方法が分からないから悩んでるわけで。だからこそしっかり寄り添って、悩みの本質をつかんで的確に解決してあげること、そしてスピードが速いことが、コベルコ建機の強みだと思う。課題や悩みの共有がしっかりできているから、方向性や答えを間違わない。

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松代お客さまとのコミュニケーションがしっかりできているということだと思いますが、社内のコミュニケーションも活発ですよね。部署間の壁をあまり感じません。

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絹川そうだね。組織がフラットで、部署を越えて互いに意見を言い合うというのはコベルコ建機のDNA。営業・開発・サービスが一緒に考えて、いろんな立場から意見を言うと、いろんな発想につながるんだよ。

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泉他部署との連携は常に行われているし、ジョブローテーションも取り入れているから、部署間の交流はますます活性化しているね。
お客さまに寄り添う姿勢が徹底

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松代2016年4月のショベルとクレーンの経営統合も、コベルコ建機の大きな特徴になると思いますが、どんな変化がありましたか?

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絹川ショベルとクレーンは実は全然お客さまが違うんだよ。だから、統合することによって市場が広がった。互いの流通網も活用できるし、もちろんノウハウの活用もね。人材交流も活発だから、刺激しあってブラッシュアップが進んでいるよ。

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泉土木系と建築系の機械、つまりショベルとクレーンを両方扱っているメーカーはかなり珍しいから、これからもっと強力な武器になると思う。

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松代働く立場から言えば、入社以来ずっと、若い人にもいろんなチャレンジをさせてくれるというのを感じています。任せてもらえるから、力もつくし、自信にもなります。

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泉若いうちからいろんなチャレンジをさせるというのはポリシーだね。失敗してもいいから、前向きにチャレンジしてほしいし、それができる環境だと思う。もともと、できるだけ現場に行けという考えだから、海外赴任や海外出張も積極的に行ってほしい。海外のユーザーや現場を訪ねたり、展示会に行くことも推奨してる。

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絹川いま、若い人に次々に海外に行ってもらっている。「マーケティングマネージャー」と呼んで、20代後半から30代前半が中心。若い人は海外への先入観がないから、見てきたまま、感じたままを持ち帰ってくれる。現地の情報が変なフィルターを通さずに入って来るんだよ。そういうアンテナ機能も大切にしてるんだ。これをもっともっと増やしますよ。
新発想によるICT活用にもチャレンジ

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松代今後のビジョンについて聞かせてください。課題とかもありますか?

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泉やりたいことがたくさんあるから、当然課題は多いね(笑)。建設現場の人手不足を解決するために、AIなど採用しながら、「だれでも操作できる建機」をつくりたい。ICTをどう使って、どう現場を変えていくか…が課題だ。

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絹川欧米市場の強化と、中東やアフリカに対しても販売数を増やしていきたい。流通のしくみは確立できたから、今後はもっと海外に力を入れていきます。日本人は細かくて要求が高いから、日本で認められたら世界で通じる。ある意味、日本の市場は、世界に出すための試験場でもあるよ。

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泉日本の厳しい市場で鍛えられた商品というのは、アピール力が強いからね。世界のどこでも、日本で磨いた技術や機能を持っていけば8割は完成。でも日本とは環境や使い方も違うから、2割分くらいはその土地用の仕様にする必要が出てくるんだよね。だから、そこがまた我われの腕の見せどころ。アンテナの感度が重要になってくるわけだよ。

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絹川そのためにも、どんどん海外に行って、自分の目で見て、感じてきてほしいね。松代さんもすぐ海外に行くことになるよ。

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松代先日、さっそく海外の展示会に参加させていただき、お客さまとお話ししました。これからもそういうチャンスが多くあるような気がしています。

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泉クレーンに関していえば、現地生産は現状インドのみで行っている。今後需要が増えるエリアに対しても生産体制や営業体制を整えて、市場を強化していきたいね。

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絹川やりたいことも、アイデアもたくさんあるんだけど、構想に対して人が足りない。これを読んだ人に、ぜひわが社に来てほしいね(笑)。

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泉他業種からのキャリア採用にも力を入れているんだよ。視点が違って、いい議論になるんだ。そうやってこれからも新しいことにチャレンジしていくよ。

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絹川例えば、測量の業界からキャリア採用した人と一緒に考えたのが「ホルナビ」。ICTを使って、ショベル作業をナビゲートするシステムだけど、測量の視点を盛り込んだからスピーディに実用化できたと思う。ICTやIoTには特に別の視点が重要だと思う。ITソリューションには、今後も力を入れていく計画だ。

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松代他業界から来た人も意見が言いやすいのも、コベルコ建機の「なんでも言える社風」が影響しているような気がします。

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絹川そうだろうね。活発な議論はわが社の特徴でもあるよ。人と人とが交わることで生まれる効果に期待しているし、これからも大切にしていきたいね。