排出ガス2014年規制適合の新TKシリーズが誕生!

高いつり能力と堅牢性に
輸送性向上をプラスした
基礎土木現場の雄

開発ストーリー 01

TK750G / TK750GFS

頑丈な構造と高いつり能力を武器に、ハードな基礎土木の現場で活躍するTKシリーズの新モデル。従来の性能に「輸送性向上」「排出ガス2014年規制適合」などの新たなメリットを追加

青石 孝義
企画本部 企画管理部
クレーン事業グループ マネージャー
マーケッターの眼差しでコンセプトを策定
2005年入社。「従来機から改善すべき要件を吟味し、時代を先読みした複数のシナリオを策定。科学的なデータから車幅変更の必要性を訴え、周囲の理解を促しました」

樋口 正明
マーケティング事業本部
クレーン営業本部
国内営業部
東日本営業グループ マネージャー
リアルな市場と開発部隊の架け橋に
2006年入社。「TK750Gにはすでに引き合いが殺到。車幅や重量などに対する要件が高まる時代背景のなかで、この機械への期待を日々実感しています」

花本 貴博
GEC 開発本部 クレーン開発部
特機開発グループ グループ長
未来を見据えた開発プロジェクトを指揮
1990年入社。プロジェクトマネージャーとして開発を牽引。「技術者の総力を挙げて、市場のニーズと開発思想の双方を実現した、魅力ある機械ができました」

笹岡 佳雄
GEC 開発本部 クレーン開発部
特機開発グループ
お客様メリットを確かなカタチに結実
2010年入社。設計全体を主管する立場で開発に参画。「コンパクトな機体内のレイアウトに苦心しましたが、今までの知見で従来機能を堅持した設計を達成できました」

岡田 哲
GEC 開発本部 要素開発部
電気制御系開発グループ
常に安定した稼働と生産性を支える
2015年入社。電気回路や制御を司るソフトウェアなどの構築を担当。「過酷な基礎土木の現場でも止まらない安定稼働と、マシンを見守り状態を表示する機能にも注力しました」

宮村 虎弥
品質保証部 クレーン開発試験グループ
お客様目線を貫く試験を追求
2015年入社。「オペレータの方に寄り添う気持ちを重視して、安全性はもちろん、操作性や快適性などの面からもマシンのあるべき姿を追求しました」

2017年6月に販売を開始したTK750G / TK750GFS(以下、TK750G)は、基礎土木を中心とした厳しい現場環境下でのハードな作業で活躍し、高い評価を受け続けてきたTKシリーズの新モデル。堅牢な構造や作業性、高いつり能力など従来の魅力はそのままに、新たに業界待望の「輸送幅3m未満」という条件を満たした画期的なニューモデルだ。

従来の魅力を継承しつつさらなるスリム化を目指す

高評価を得ていた従来のTKシリーズ。だが、排出ガス2014年規制への準拠が焦眉の課題となっていた。マーケティング戦略を担った青石孝義はこう語る。

青石

当初、評価が定着しているTK750の新モデル開発は、コストや時間がかかる大幅な変更よりも、排出ガス2014年規制に適合したエンジンに載せ替える程度の変更に止めるほうが得策だと考えられていました

しかし、クローラクレーンをトレーラで輸送するには、その都度「特殊車両通行許可」を受ける必要がある。書類作成や申請などの煩雑さ、許可が下りるまでのリードタイム、さらにトレーラ配備までの待機時間や輸送時間帯の制限などが、クレーンの実稼働時間を圧迫する要因となっていた。

青石

お客様メリットを考慮すると、トレーラの手配や申請手続きの簡素化と許可取得までの期間圧縮ができたほうがいい。そのため、クローラを外した最小輸送幅はなんとか3m未満に抑えたいと思っていました

ただ、実際にお客様と向き合ってきた営業担当の樋口正明は、

樋口

従来機が非常に好評だっただけに、『車幅変更で悪影響が出ないか』という懸念があった

という事実を明かす。

これを払拭するため、開発部隊は各地のお客様の声をヒアリングする訪問に同行。そこで「車幅変更が不可欠だ」という確信をいっそう深めたという。プロジェクトマネージャーの花本貴博は当時の記憶をこう振り返る。

花本

社内では大幅な変更に反対する声もありましたが、お客様の声を伺うにつれ、従来の特長の保持と車幅変更の両立を、我々の技術力で必ず実現したいという想いが強まっていきました

そこで青石は、さまざまな条件を想定した8つのシミュレーションシナリオを作成した。

青石

長期的に見れば、ある程度のコストと時間をかけても車幅変更にトライしたほうが、売上や収益性、市場占有率や影響力などのメリットが大きいことを証明しました。その結果、経営陣からも賛同を得ることができました

こうして14年4月、『10年後をイメージして、誰も見たことのない景色を見よう』という花本の開発者精神を示す合言葉で、プロジェクトは本格始動した。

最小輸送幅2.99mのコンパクトレイアウトを実現。
新たにオプションでブーム脱着装置とクローラ自力脱着装置も搭載し、輸送性が格段に向上した

厳しい現場における戦力化を意識

今回のプロジェクトのテーマは、スリム化した機体の強度を確保しながら、エンジンをはじめとする各要素を効率的に納めること。この課題に対して手腕を発揮したのが、全体設計を担当した笹岡佳雄だ。

笹岡

限られたスペースでの排気管の設置など、難題は複数ありました。しかし、結果として基礎土木最前線で活躍するタフさという従来機のメリットを継承する機械ができました

またエンジンには、ダイムラー社製の「OM936LA(MTU6R1000)」を採用した。これは排ガス後処理装置として「尿素SCR」を搭載し、PM(粒子状物質)やNOx(窒素化合物)の排出量を削減。さらに、低騒音型建設機械の基準値もクリアするものだ。

一方、システム開発を担った岡田哲は、エンジン周辺の温度を一定に保つことに苦労したと語る。

岡田

ハードな用途のマシンゆえ、現場ではエンジン周辺の温度が高くなることが予想されます。安定的なヒートバランスを担保するファン制御のために、机上計算と実機での試験結果のすり合わせを繰り返し、最適解を探っていきました

お客様目線を貫きブラッシュアップ

TK750Gでは、従来機でお客様からの評価が高かった性能も引き続き保持している。

笹岡

さまざまな設計変更をしつつも、最短ブーム長を10.0mに抑え、ウインチの配置を工夫してコンパクトな後端旋回を維持。全高制限のある場所での高いつり能力と、狭所現場における作業性という従来機のお客様メリットを踏襲しました

また、試験担当の宮村虎弥は、試験段階でもお客様目線を貫いたと力説する。

宮村

過酷な現場を想定した試験はもちろん、レバーの間隔や位置、レスポンスなど、オペレータの方々の感覚に配慮しながら設定値を決定しました

こうして誰もが納得できる平均値をデフォルトとして、細部設定は納車時に微調整できるかたちで仕上げていった。今回確立されたさまざまなノウハウは、他のTKシリーズの開発にも活かされるはずだ。

TK750Gには、すでに多くのお客様からの引き合いが相次いでいるという。開発メンバーも、「従来機を使用するお客様はもちろん、他社機のユーザも含めて、ぜひとも過酷な現場で活用していただきたいですね」と口を揃えた。

製品情報:テレスコピッククローラクレーン TK750G
製品情報:テレスコピッククローラクレーン TK750GFS
Pick up:TK750GFS / TK750G

※掲載内容は発行当時(2017年10月)の情報です。