個人の幸せと企業力の向上を実現し、魅力ある会社であり続けることを目指したプロジェクト「ワークスタイル変革」が3年目に突入する。社員一人ひとりが生き方や働き方を見直すきっかけとなり、個人・会社・社会が互いに好影響を与え合うライフスタイルへの進化が、少しずつ見え始めている。
コベルコ建機(株)常務執行役員 企画本部長細見浩之
2016年、コベルコ流働き方改革「ワークスタイル変革」の取り組みがスタートした。「効率よく働いて生産性をアップさせるためでもありますが、社員にとって仕事もプライベートも充実した快適なものであってほしいという願いがあります。心の余裕や豊かな気持ちが、個人はもちろん会社や社会にも良い影響を与え、好循環を生むと思っています」と実施責任者の細見浩之は目的を語る。
最初に着手したのは会議の改革だった。漫然とした会議をなくし、確実な成果を得られるようルールを整えた。「会議は時間を決め、必ず結論を出します。議事録をその場で仕上げるということも徹底しました」。そのほか平行して進めたのが、業務時間の限定と、メールのルール制定・実施。これらを3本の柱として、業務の合理化と労働時間の短縮を目指した。
ICTも活用する。文書管理などのデータベースシステムはもちろん、数値入力などの単純な作業はパソコンに組み込んだロボットに任せる。業務は限られるものの、大幅な時間短縮ができる見通しだ。
結果、休日出勤は明らかに減り、退社時間も早くなった。年次有給休暇取得13日を目標にした「ミニマム13」は、2017年度に全員が達成。「習い事や趣味などの時間が増え、休暇も各自のライフスタイルに合ったタイミングで取っていると感じます。新しい働き方が浸透してきているのではないでしょうか」と手ごたえを感じている。
会社も、増えた時間の有効活用をサポートする。それまで工場を中心に展開していた社内クラブ活動の補助をグループ全体の取り組みとして拡大。現在、マラソン部や軽音楽部など次々にエントリーがあり、順次社内クラブとして認定される予定だ。
有名無実化しやすい働き方改革が、コベルコ建機で成功している理由はどこにあるのか。「ひとつは、会社が本気だということでしょう。トップ自らがことあるごとに“働き方を見直せ”と連呼する会社は少ないと思います」。国内販売会社にも労働組合をつくるように号令をかけたのは社長自身だ。細見は続ける。「さらにもうひとつ。朝礼や通達だけでは表面的な働きかけになって浸透しないので、個々に都度、話し合っていきました」。ヒアリングマラソンと銘打ち、全部署へのアンケートを実施、一人ひとりが抱える課題に丁寧な対応を重ねた。慣習や遠慮を取り除き、業務内容を精査し改善を繰り返したのだ。
「今後は家族はもちろん地域との関わりも増えていくと思います。仕事以外での活動を通じて視野を広げ、社会や地域への興味関心を深めて社員と会社、そして地域が一緒に成長していくことは、コベルコ建機が目指す理想の姿」と細見は期待を寄せる。コベルコ建機はこれからも、より良い社会の構築に向けて進化を続ける。
コベルコ建機(株)
企画本部 企画管理部 経営企画グループ
マネージャー岡本 真典
残業事前申請制度などの取り組みにより、時間意識がかなり強くなりました。自分を含め、職場全体にとって効率的な時間の使い方を工夫しています。
帰宅が早くなり、家族団らんの時間が増えました。家事の手伝いもするので妻にも喜ばれています。早寝早起きに変化していて、心身ともにリフレッシュできる機会が増えた気がします。
コベルコ建機(株)
法務・監査部 法務グループ
マネージャー山内 祐介
フレックスタイムを活用しやすくなるなど、柔軟な働き方ができるようになりました。会議も合理的で実のある内容に変わったと感じます。
増えた時間はランニングや野球観戦、資格取得など、趣味やスキルアップに使っています。人からうらやましがられますが、次の目標は、毎日定時退社して「本当に働いているのか?」と言われることですね(笑)。
※部署名は取材当時