業界初となる省エネ機能を多数搭載したマスターテックGシリーズのコンセプトを引き継ぎ、最新の排出ガス2014年規制適合エンジンを搭載したG-2シリーズが誕生。コベルコ独自開発の省エネシステム「Gモード」もさらに進化し、環境性能の追求を続けています。
停車時のエンジンストップを促す「オートアイドルストップ(AIS)」を2011年より業界で初めて採用。次のトレーラーが来るまでの待ち時間などに、自動的にエンジンがストップ。建て方、港湾荷役など各作業で省エネ効果を発揮します。また、新たにG-2シリーズより「マニュアルアイドルストップ(MIS)」を設定。オペレーターの意思でアイドルストップさせることが可能になりました。エンジン停止のためには、AIS時14項目/MIS時9項目の条件があり、安全性に配慮しています。
山田 純平
コベルコが生み出した革新的クローラクレーン、マスターテックGシリーズの後継機として、フルモデルチェンジしたG-2シリーズが登場した。排出ガス2014年規制にいち早く対応し、省エネ機能「Gモード」もユーザーニーズに合わせて改良。世界トップクラスの高い環境技術がふんだんに盛り込まれた。
排出ガス規制は、それまでの5分の1という厳しいNOx低減が求められたため、NOxを尿素で窒素と水に分解する尿素SCRシステムを使った新開発エンジンを搭載。新エンジンは、バスやトラック用に開発されたもので、建設機械は初めてだった。電機制御を担当した山田は言う。「クレーン独特の動きに加え、センサーや装置が増えて複雑になるので、機械とエンジンとのマッチングが一番の課題でした」。エンジンメーカーとの調整はいつも以上に時間をかけ、丁寧なコミュニケーションと細かな修正を重ねたという。
ユーザーから高い評価を得る省エネ性能「Gモード」も、さらにブラッシュアップした。業界初のオートアイドルストップ(AIS)は、待機中にエンジンが自動停止する機能だが、新たに、オペレーターが停止のタイミングを手動でコントロールできるようになった。「手動ですが、いつでも切れるわけではありません。安全のため9項目の条件を満たさなければ作動しない仕組みです」と安全機能を解説。AIS時には14項目が条件だ。また、エンジンを不要に高回転させなくても、高速でウインチを巻き上げる「Gウインチ」も性能が向上。ブーム旋回中や起伏時でも、同時に動かせるようになった。「安全性を確保しながら多機能にするのは、思った以上に難しかった。1年を予定していたシステム開発は、検証を繰り返し、1年半かかってしまいました」と山田が苦笑いをする。これらの環境・安全性能に加え輸送性もアップさせ、ユーザーの使い勝手を高めたG-2シリーズっは、クローラクレーンの新基準となって業界をリードしていくだろう。
国産最大級の超大型
クローラクレーン
2016年5月、超大型クローラクレーン「SL16000J(最大つり上げ能力1,000t)/SL16000J-H(最大つり上げ能力1,250t)」を国内向けに販売を開始しました。世界で超大型クローラクレーンの需要が高まる中、事業基盤確立の取り組みのひとつとして、日本国内の需要に合わせて誕生した国産最大級のクローラクレーンです。
従来機SL13000の後継機として、クレーン能力の大幅な向上に加え、コベルコならではの環境性能を発揮。排出ガス2011年基準に適合し、低騒音型建設機械の指定を取得しています。また、合理的なユニット構成、軽量設計ならびに機器配置の見直しによって、効率の良いパッケージ化と組立分解のしやすさを実現、輸送性能を高めています。