コベルコ建機グループは設立以来、常に時代をリードする環境技術の開発に取り組んでいます。業界トップクラスの低燃費性能や周辺環境へ配慮した低騒音、排出ガスのクリーン化を実現した環境エンジンなど、コベルコが誇る油圧ショベルの環境性能は今もなお、進化し続けています。
油圧の流れを効率的に制御する新ブーム/アーム回生や、圧力損失の低減により、従来機に比べ、全てのモードで燃費性能がアップ。この10年では約38%の燃費低減を実現しています。
土井 隆行
圧倒的な燃費性能で歴史的モデルともなったSKシリーズ8型から、革新的進化を遂げた最先端モデル10型が2016年、国内販売を開始した。追求したのは「低燃費、さらに高耐久」。地球上のあらゆる場所でタフに働き続けるために、地域に合わせた丁寧な調整を余儀なくされた。電機関係の技術開発を担当した土井は、人気モデルのフルモデルチェンジを振り返る。「燃費性能を向上させつつ、パワーや耐久性をさらに上げるのは至難の技でした。温度・湿度・ほこり・使い方などが全く違う環境で力を発揮するために、パーツや配線の形状から配置までも見直しました」。先行して売り出された海外では、過酷な作業環境での高い省エネ機能とパワーを兼ね備えた新型機に、ユーザーが驚きを隠せない。
コベルコはハイブリッドショベルにおいても世界のパイオニアだ。2016年、ハイブリッド技術の粋を集めたフラッグシップ機「SK200H-10」を上市した。20トンクラス業界初のリチウムイオンバッテリーを採用。従来のキャパシタと比較して、蓄電量、持続力、アシスト効率が向上した。それに伴い、旋回動作を油圧から電動モーターに変更。旋回動作の完全電動化により快適でスピーディな旋回性が実現した。
開発のスタートは2011年。低燃費を推し進め、パワーを上げることは、ハイブリッドにも課せられた課題だった。プロジェクトチームは、国内乗用車にさえ使われていなかったリチウムイオンバッテリーに注目。「すぐに追いつかれるような技術ではダメだと。思い切って挑戦するしかないと思いました」。国内初の取り組みに、神戸製鋼の神戸総合研究所とも連携し、電池メーカーと3社で開発を進めた。「小さい電池をいくつもつくり、条件を変えては実験を繰り返しました」。実機に載せてのテストは、それから数年後のことだ。「過酷な環境下での実際のテストも必要でした。寒冷地の実験に真冬のフィンランドにも行きました」。パワーやスピードを犠牲にしない、新たな低燃費を追い求める姿勢が、新しい技術を生んだ。過酷な環境でもなお、地球にやさしく、タフに働き続けるショベルをコベルコはつくり続ける。
業界初・リチウムイオンバッテリー
採用ハイブリッドショベル
2016年11月、業界初となる大容量リチウムイオンバッテリーを採用した、最新鋭の20トン級ハイブリッド油圧ショベル「SK200H-10」の販売を開始しました。1999年にハイブリッド油圧ショベルの研究開発をスタートし、2006年に世界初の製品化。その後も改良を重ね、より省エネ・高性能化してきました。
新型機の大きな特徴は、キャパシタからリチウムイオンバッテリーに変更し、大容量の蓄電と、持続的でパワフルなアシストが可能となったこと。作業負荷がかからないときは畜電され、負荷がかかるときは継続的にエンジンをアシストすることでエンジン負荷が軽減し、これまで以上のパフォーマンスを発揮します。その結果、最大で燃費低減約19%・作業量約10%の向上。「低燃費、さらに高耐久」を実現した最新鋭の機械です。